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先輩インタビュー
キャリアアップ、路線変更編
Interview

他科からの転職×
キャリアアップへ

これまでの経験をどのように活かすか?未来を考えた挑戦

30代〜40代、病院勤務を続けキャリアを重ねるか、他の診療科を選ぶか、将来の開業を視野にいれるのか…悩むことが増える年齢ではないでしょうか?
今回は、救急科から訪問診療の世界へキャリアアップをしながら挑戦する医師へインタビューを行いました。

大野 孝生
医師大野 孝生

岐阜県出身。
救急医として病院にて常勤として勤務をしていたが、あるきっかけから訪問診療の道へ転身。
みどり訪問クリニックでは、週1回の非常勤勤務からスタートし、現在は常勤医として勤務している。

  • なぜ救急から訪問診療の世界へ?
    大野:

    藤田医科大学病院の教授から「(みどり訪問クリニックで)在宅医療を学んでみては?」という打診がありました。
    私は岐阜県出身なので、この地域のことはほとんど知らないですし、最初は「え、在宅?」という気持ちでした。
    もともと救急医志望だったので、ER型救急医療に自分は進むと思っていましたし、同期の仲間は救急系に進んでいたので意外なことになりました。それでも教授から「救急をやりたいなら、在宅も勉強した方が良いぞ」と言われて送り出していただきました。外勤という仕組みさえ知らない状況からのスタートです。最初は、週1回の非常勤からスタートして、残りの勤務日は病棟で常勤医として働いていました。

    救急志望から訪問診療へ転換を決めたきっかけは何かあったの?

    救急医志望から訪問診療医へ転換を決めたきっかけは何かあったの?

  • ここで働こうと決めたきっかけ
    大野:

    みどり訪問クリニックへ見学に行って、そこで一目惚れしました。在宅医療っておもしろいなと。

    一目惚れ!!どんなところに「おもしろさ」を感じたの?

    一目惚れ!!どんなところに「おもしろさ」を感じたの?

    大野:

    救急とは違う、患者さんとの関わりの深さです。まず話す時間、密度が全然違いました。
    救急だと、意識レベルの悪い人や、その場限りの出会いになってしまうので。救急のスピード感や、さまざまな困難を抱えた患者さんが来ることは、それはそれで好きでしたが、訪問診療は患者さんの生活や性格などにも触れて深く関わるので、得られる情報量が多い。それが一番大きな違いでした。
    勤務していた病院がジェネラリストが集まるような組織だったので、その影響もあるかもしれませんが、人に興味があるという私の性格も相まって在宅のおもしろさを感じました。

    救急でも亡くなる時に立ち会うことはあって、その場で全力で救命をするのですが、その方やご家族との関わりという点では希薄になりがちだと思います。訪問診療では、診療から看取りの現場まで深く関わっているので、記憶に残っていますね。ご自宅、病院どちらで亡くなったとしても、今でも、患者さんお一人ひとりの生き方・亡くなり方を鮮明に覚えています。
    そういう人としての関わり方ができるので、在宅診療っておもしろいなと感じたところです。
    救急も在宅も「死」という部分には関わる医療ですが、それぞれのいい面があるなと思っています。

    同じ医療でも、診療科によって、見る視点が全然違うんだね。

    同じ医療でも、診療科によって、見る視点が全然違うんだね。

  • 救急専門医を取得後したあと非常勤から常勤勤務への変更
    大野:

    私が従事している「救急」は、病棟管理も集中治療もすべて担う科なので、一般的な「救急」とは少し違う体制でした。
    基本は救急にいて、あとはローテーションする働き方でした。
    みどり訪問クリニックで常勤勤務になる前のタイミングで、救急専門医の資格を取得しましたので、自分の働き方の割合をシフトチェンジしようと決めました。在宅と救急で働き方をシフトチェンジしても良いのでは?と思ったんです。

    救急専門医を取得後したあと非常勤から常勤勤務への変更
    え!救急専門医を取得したあとに、常勤勤務を訪問診療に変更したの!?

    え!救急専門医を取得したあとに、常勤勤務を訪問診療に変更したの!?

    大野:

    そうです。現在は、週1回非常勤で藤田医科大学病院の救急で勤務しています。同じ地域で訪問診療と救急病院の両方に所属しているのは珍しいかもしれないですが、地域医療に携わるという意味では繋がっていると思っています。
    今、社会問題になっている高齢者の救急搬送や、早期退院支援など自分だからできる関わり方があるんじゃないかと思ったんです。

    救急医療と在宅医療って全然違うイメージだけど…共通していることがあるの?

    救急医療と在宅医療って全然違うイメージだけど…共通していることがあるの?

    大野:

    確かにスピード感が違います。しかし、共通点はたくさんあります。
    その1つは、地域に根ざしているところです。例えば、地域で急変や急性の症状が出たら近くの病院へ搬送されます。その地域で訪問診療を受けたいとなったら、地域の訪問診療クリニックにお願いしないといけない。つまり、地域の力に依存してしまうんです。患者さんご自身で診療先を選ぶことは難しいので…。しかし、私は両方を知っているので、シームレスな対応ができます。

    あとは、救急も訪問診療もジェネラルな視点であること、全人的に人を見る視点は共通していると思います。例えば、以前の救急の疾病振り分け体制は、症状を見て振り分けることが一般的でした。しかし、超高齢化社会において、さまざまな併存疾患があるので、社会環境や介護状況など全てを含めて見ないといけない流れになっています。
    こういう点も2つの診療科の共通している部分だと思います。

  • キャリアチェンジ後の目標は?
    大野:

    まずは在宅医療専門医の資格取得ですね。専門医の資格取得は通過点だと思っています。
    その後は、自分の根本的な原点は一緒で、住みやすい地域にしていきたいという思いがあります。
    例えば、今は高齢化で病院の入院受け入れがいっぱいで、病院としては早期退院を促しています。そのために国は在宅医療を支援しているけれど、少しうまく噛み合っていないように感じています。だから、早期退院しながら在宅へ移行する体制や、入院先を在宅医療にすることで救急搬送を減らせないかなと。

    これまで救急で受診しても、入院適応ではないという理由で、入院せず帰宅しないといけない人をたくさん見てきました。その時に在宅医療が入ることで、その後のフォローアップもできますし、入院数も減らせるんじゃないかと思うんです。もし自宅で何か起きたときも、在宅が入ることで、入院回避や早期退院にもつながるかと。

    あとは体調が悪くなる前に予防する支援がしたいです。
    孤立している患者さんをコミュニティにつなげたり、運動や栄養で病気になる前に予防する活動をこの地域でやっていけたらと考えています。

    確かに。入院できると思って病院へ行ったあと、自宅へ帰ってと言われてしまうと、自分だったら不安だな…。救急の経験があるからこそ見えてきた視点だね!

    確かに。入院できると思って病院へ行ったあと、自宅へ帰ってと言われてしまうと、自分だったら不安だな…。救急の経験があるからこそ見えてきた視点だね!

    大野:

    救急外来は、医療界で「社会の縮図」とも言われるのですが、病院の最初の入口にもなる科で、病院と社会の中間にいるんですね。
    自宅へ向かうと、「よく今まで生活できていたな」というギリギリの状態の方や、病気はないけれど、介護的に入院が必要な方たちをたくさん見てきました。救急医が外に出ると、そこに介入するのは難しいこともありました。
    だからこそ、みどり訪問クリニックで働いてわかったことですが、ここの組織風土である機動力やチャレンジしていこうという精神が自分に合ったんだと思います。いろいろチャレンジしていきたいなと思いました。
    これまでの経験を活かして、この地域をバックアップできたらと考えています。

  • 入職後、特に苦労したことがあれば教えてください
    大野:

    在宅の制度については、苦労しました。
    患者さんとの関わりは苦労したり、もめることもなくやってこれたのですが、自宅でできることと病院でできることの違いがあり、その制度的な面を考慮してベストを尽くすことに苦労を感じました。
    病院ではOKでも在宅ではNGということもあります。逆も然りです。

    あとは、患者さんとご家族の受け入れ具合が大きく違うことに最初は戸惑いました。
    病院勤務だと、病院の判断が正しいという選択になりがちですが、ご自宅だと患者さんのフィールドなので、ご希望や意思を最大限尊重しながら、医療的に正しいと思うことも進めなければいけない。その中間の落とし所を探るのは、入職当時に苦労しました。一方的に押し付けてはダメだし、かといって一方的に引いてもダメだし、その中間の折り合いをつける工夫が必要でした。

    苦労を乗り越えたから今があるんだね!これってみんなが経験する苦労なのかな?

    苦労を乗り越えたから今があるんだね!これってみんなが経験する苦労なのかな?

    大野:

    長く病院で勤務している方ほど、この辺は苦労するかもしれないですね。比較的若い年齢の時に、在宅医療を経験できたのは良かったと思います。

  • キャリアチェンジについて周りや家族の反対はなかったの?
    大野:

    病院勤務医が大多数なので、クリニック勤務の医師は少数ですよね。
    クリニック勤務だと、変化に弱いんじゃないか、経営破綻しないか、病院に比べて人数が少ない分、責任の重さが増えるんじゃないか等、周りから言われました。
    だけど、私は非常勤の時からみどり訪問クリニックを知っていたので、体制的にしっかりしていること、スタッフに恵まれていることを考えると、反論に対しては大丈夫だろうなと思いました。

    反対もあった中、「みどり訪問クリニックなら大丈夫」と思えた決め手は何だったの?

    反対もあった中、「みどり訪問クリニックなら大丈夫」と思えた決め手は何だったの?

    大野:

    「定時をしっかり守る」ということに代表されるように、働きやすくする工夫がいたるところにあったことです。
    医療の世界=患者さんに尽くすことが正義みたいなところもあり、業務時間が延びて定時に帰れないことはたくさんあるんですが、ここはみんなが定時でバシッと帰れるように、そのために工夫しようという風土ですし、効率化するためにアウトソーシングできるところはしたりと、マネジメントの面で工夫がよく見えました。

    定時でバシッと帰る!これって、全員が同じ方向を向かないと実現が難しいことだよね。

    定時でバシッと帰る!これって、全員が同じ方向を向かないと実現が難しいことだよね。

    大野:

    姜院長が提唱する「賢明に働こう!」という考えがあって、それを堀田事務長が綿密に形にしていく。そしてそれを支えるスタッフがちゃんと仕事をするし、皆がチームで仕事をすることを理解しています。だから実現できていると思います。ここは、訪問診療クリニックとしての歴史もありますし、不安はありませんでした。

    定時でバシッと帰る!これって、全員が同じ方向を向かないと実現が難しいことだよね。
  • ポートフォリオ作成や教育体制について
    大野:

    在宅医療の世界で教育をしっかりしよう!というクリニック自体が少数派だと思います。医師の人数が少ないですし、グループ診療の体制も少ない。だけど、ここはしっかり体制があります。
    教育に対するモチベーションが高い成瀬先生がいて、教育に力を入れるここの文化の相乗効果によって、結果につながっていると思いますね。成瀬先生も教育が好きなんだなと見ていてわかりますし、姜院長も教育にはこの先も力をいれるとおっしゃっていたので、自分もその一役を担えればと思います。

    診療をしながら教育って大変なのでは?

    診療をしながら教育って大変なのでは?

    大野:

    現在は週2回の頻度で勉強会やってますけど、これだけ休まずに続けること自体、すごいことだと思います。
    なかなか継続できないことだと思います。

    興味本位なんだけど…姜先生と成瀬先生ってどんな性格なの?(ドキドキ)

    興味本位なんだけど…姜先生と成瀬先生ってどんな性格なの?(ドキドキ)

    大野:

    成瀬先生は丁寧で親切な先生ですね。姜先生はカリスマタイプの先生です。経営者としても在宅の指導者としても憧れています。お二人ともタイプが全然違う教育者ですが、それが良いバランスなんだと思います。

    年齢も経験も性別も違う二人だからこそのSynergyなんだろうな。大野先生はこれからどうなりたいの?

    年齢も経験も性別も違う二人だからこそのSynergyなんだろうな。
    大野先生はこれからどうなりたいの?

    興味本位なんだけど…姜先生と成瀬先生ってどんな性格なの?(ドキドキ)
    大野:

    自分も教育には情熱があって、今は教育を受ける側ですが、これから専門医を取って、どんどん学びを表に出していきたいなと思っています。すでに在宅医療専門医を持っている先生方と一緒に教育に関わっていきたいですね。

    教育体制
  • 訪問診療に興味はあるけど、迷っているという方へ
    何かひとこと応援メッセージをお願いします
    大野:

    まずは在宅医療に対して自分の性格やマインドが合っているかどうかは、この世界に入る前にちゃんと理解しておいた方がいいと思いました。
    実は患者さんの自律と幸せを支援する上で、病院の医療が必ずしも当てはまらないということがありました。

    病院医療の世界から在宅医療の世界に入ったら、まずは「学びほぐし」が必要になると思います。病院勤務と在宅では通じるところもあれば、通じないところもあります。
    特に患者さんとご家族の自律を支援する立場になるので、黒子のようなポジションになります。
    在宅においては、医療が介入し過ぎると結構、嫌がる患者さんもいます。ご自宅という患者さんのフィールドがあるので、医療の出しどころや、折り合いを考えながら広い視点で支援していくことが求められます。

    キャリアチェンジにおけるリスキリングでは、自分の経験をちょっと崩して学びを受ける姿勢は、やっぱり大事にしないといけないかなと思います。プライドをできるだけ捨てられるか。若手の私が言うのも恐縮ですが…。

    専門を極めてきた医師や、経験が豊富な先生ほど、大事なポイントになるのかな…?

    専門を極めてきた医師や、経験が豊富な先生ほど、大事なポイントになるのかな…?

    大野:

    どちらかというと、専門性を崩すというよりは横に広げる感じですね。
    専門性を担保しながら、在宅医療の土壌を1から作っていくことになるので、初学者のような感覚で学ぶ必要はありますね。
    患者さんを中心に考える方法を最初から学ぶことになると思うので、そこを受け入れて専門性をさらに伸ばして強みを活かす。そういうことができる方にとって、在宅医療の世界はやりがいを感じてもらえると思います。

    持っているものを活かすのもバランスなんだね。在宅に向いている人を一言でいうと?

    持っているものを活かすのもバランスなんだね。在宅に向いている人を一言でいうと?

    大野:

    全体を見れるジェネラルマインドですね。
    診療科や専門性ではなく、マインドとして、この患者さんはどんな患者さんなんだろうか、どういう生活しているのか、どういう性格なのか、それを支える介護者はどういう人なのか、どんな疾病で、どんな治療が最適なんだろう…と多方面から診る必要があります。ですから、個々にガイドラインにあてはめるのではなく、患者さん全体を診る事が大事だと思います。

    どんな人といっしょに働きたいと思う?

    どんな人といっしょに働きたいと思う?

    大野:

    情熱や夢を持っている人と働きたいです。
    患者さんに寄り添って、より良い医療を提供したり、良い人間関係で働きたいと思う人と一緒にみどり訪問クリニックを盛り上げていけたらと思っています。

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